デンマークに悪意なし 中国国旗にコロナウィルス風刺画 part1
デンマークの新聞社 中国国旗にコロナウイルスの風刺画
2019年1月27日にデンマークの新聞紙が中国国旗にコロナウイルスを描写した風刺画を掲載しました。
デンマークの新聞が、中国国旗の5つの金色の星を新型コロナウイルスに描き換えた風刺漫画を掲載した。中国は謝罪を要求したが、新聞社は突っぱねている。
デンマークの中国大使館は、「中国への侮辱だ」と反発。同紙と漫画家ニールス・ボー・ボイスン氏について、「中国の人々に公式に謝罪する」必要があるとした。
デンマークのメテ・フレデリクセン首相は28日、「デンマークには表現の自由がある。それに描く自由も含まれる」と、中国に念を押した。デンマークの他の政治家たちも、新聞が今回のような漫画を掲載する権利を擁護した。
ユランズ・ポステンのヤコブ・ニブロエ編集長は、同紙に中国の状況を嘲笑する意図はないと主張した。「悪いと思わないことについて謝ることはできない。相手を貶めたり、あざ笑ったりする意図はまったくないし、今回の漫画もそうだとは思わない。私が見る限り、これは文化的理解の形式の違いだ」
在中国大使館は風刺画を侮辱だとしデンマークに中国国民への謝罪を要求しましたが、デンマーク側は謝罪を拒否。これに対して憤慨した中国人たちは、ソーシャルメディアにデンマークへの怒りを露にする写真を次々に投稿しました。以下ソーシャルメディアに投稿された画像の一部です。
《左から時計周りに》
・ナチ党のシンボルハーケンクロイツの上に問題の風刺漫画を描いたデンマーク人男性の顔写真
・デンマーク国旗の白十字を女性用ナプキンに差し替え
・自殺天国・無礼・野蛮・無知などの言葉で挑発
・第二次世界大戦でデンマークがドイツに数時間で占領されたことを指摘
これらの投稿を見ると中国人がデンマークに対して激高しているのがよく見てとれます。中国では死亡者や感染者数がどんどん増え続け、発生した武漢市も閉鎖されたりと状況はかなり深刻ですよね。そんな甚大な影響を受けているときに国旗にコロナウイルスを描かれたら、なんて無礼で不謹慎なのだと中国人が憤慨するのは当然のことだと思います。
しかし私は同時にデンマーク人が嘲笑する意図はないと主張するのも納得がいきます。なぜなら新聞社ユランズ・ポストの編集長が述べていたように、これは文化的形式の理解の違いだからです。
デンマークの笑いやユーモアは中国、そして日本とも異なります。私たちとは異なる文化の笑いやユーモアを理解するのは簡単なことではありません。けれどもデンマークの笑いやユーモアを知ることで、中国国旗にコロナウィルスを描写したデンマーク人に中国をあざ笑う意思はないということが理解できると思うのです。
そこで今回は文化の違いによる誤解を解いてデンマークに悪意はないことを少しでも皆さんにお伝えできればと思い、デンマークのユーモアをご紹介することにしました。
デンマークのユーモアとは
こちらの下の動画はデンマークにやって来た難民向けに作られたデンマーク文化の紹介ビデオで、デンマークのユーモアについ説明しています。
動画の中では具体的に3つのデンマークのユーモアを例えとともに紹介。この動画に沿ってデンマークのユーモアを見ていきたいと思います。
①皮肉
②自己嘲笑
③軽い人種差別
Velkommen til Danmark: Humor | GANDHI | DR P3《デンマークへようこそ:ユーモア》残念ながら日本語字幕はついていませんが、英語の字幕はついているので気になる方は是非チェックしてみてください😊
①皮肉
皮肉とは実際に思っている事とは反対のことを言うこと。デンマークでは日常的に皮肉なユーモアが飛び交っています。
例えば・・
(例)天気が悪く雨が降っており、どんより曇り空の日。
「今日は天気がとってもいいね!」
(例)授業に来た生徒が通常の半分以下。開口一番に先生が言った一言。
「おはよう!なんて大人数のクラスなんだ!」
(例)包丁の切れ味がかなり悪い。
「この包丁の切れ味凄く良いね!」
このような感じで実際の出来事とは真逆のことを言うのが、デンマークユーモアの一つの特徴です。
②自己嘲笑
デンマーク人は相手のことをからかったり、互いにけなし合ったりすることが好きです。しかしデンマークでは、自分自身も物笑いの種になることがとても大切です。
日本にも自虐ネタがあると思いますが、デンマークの自己嘲笑とはちょっと異なります。
《日本の自虐ネタ》
日本の自虐ネタは、本人に何か思うところがあったり失敗した時に否定的な言葉で自分を下げる特徴があると思います。
(例)「俺なんかモテないからさ」/「どうせ私なんてもう若くないから」
このように日本の自虐は、本人がネガティブな事実を語ります。聞き手は笑っていいのか笑ってはいけないのか反応に困りますよね😅
《デンマークの自己嘲笑》
デンマークの自己嘲笑は日本の自虐ネタのように自分を下げたり自分をけなすわけではありません。
(例)数学の授業中生徒が解けなければならない問題を先生が解けず、先生にとっては穴があったら入りたい恥ずかしい状況。そこで先生が一言。
「なんて私は数学が得意なんだ」
→自分に対して皮肉を使って笑いを誘うことで、恥ずかしさを減少させる。
(例)若いのに顔に多くの皺がありコンプレックスだとします。しかしユーモアでコンプレックスを笑いにかえます。
「僕はいつも自分の皺を誇りに思ってきたよ。皺を増やすのに労力を費やしてきたしね」
→自分に対してわざと皮肉を使って笑いをとる。
(例)スイーツコンテストでケーキに砂糖の代わりに塩を間違えて入れてしまった。そんな時に一言。
「私はレシピの順に従うのが得意なんですよ」
→ネガティブなことが起きた際に皮肉を使って自分の失敗を面白おかしくする。
このようにデンマークの自己嘲笑は、自分の身に起きたネガティブな出来事とはあえて反対のことを言って笑いを誘います。決して自分を蔑んでいる訳ではないので、聞き手は反応に困らなくてすみますね。
③軽い人種差別
デンマークでは、軽い人種差別でジョークを言ったりします。日本人ならそれって人種差別じゃない!?と思うことも正直しばしば(笑)
ではどんなジョークがあるのか見ていきましょう!
Q: 黒人が自転車に乗っています。さぁ〜て、なんと呼ぶでしょうか?
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A: 「自転車泥棒」
ハリウッド映画などで、黒人は社会的な問題や犯罪と結びつけられる傾向が見られますよね。そのため黒人は窃盗をするというステレオタイプが私たちには自然に植え付けられています。
しかし、要注意!このジョークはアフリカ人本人が言うから面白いのであって、デンマーク人や白人が言ったら差別になります。
けれど、もしも黒人がその場におらず自分の仲の良い友達だけしかいない完全に自由な場だとします。
そこで例えばこんなジョークを言うのはデンマークではありです。
Q:人間と類人猿を分けるものはなんだ?
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A: 地中海
(ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の間に位置しているのが地中海だから)
いくらその場に黒人がいなくても、これは人種差別的発言になるのでは・・と正直私は思ってしまいます😳💦笑
でもデンマークのユーモアの観点から見ると、皆んなでヒュッゲな時間(幸せ・満足感・心の安らぎを感じられる雰囲気)を過ごしている限り、これは人種差別にはならないそうです。
Part2につづく・・・。