アジア人の視点から:デンマーク人は遠慮なくものを言う
デンマークに住んで8年目のインド人の助教授マニッシュ・クマーさん。
長年デンマークに住んでいる外国人の彼から見たデンマーク社会、そしてデンマーク人とは一体どんな特徴があるのでしょうか?
今回は、デンマークについて外国人に尋ねた【外から見たデンマーク】という記事を翻訳しました。また、デンマークに住み始めて2年目と私は彼よりも在住歴は遥かに短いですが、マニッシュさんの考えと私の意見を比較し、アジア人から見たデンマークを多面的に分析してみました。
1. マニッシュさんインタビュー
外から見たデンマーク:デンマーク人は遠慮なく思ってることをはっきり言う
《プルフィール》
Manish Kumar (マニッシュ・クマー ) インド出身の36歳。韓国の建国大学にて博士号を取得後、2013年にデンマーク工科大学の博士研究員となり2015年より助教授として勤務。
マニッシュはフラットでヒエラルキーのない組織、健康的なライフスタイル、デンマークのくだけた言い方が好きだ。彼はインドで生まれ育ち、過去4年間コペンハーゲン大学で教鞭をとった。
デンマークに来て最初に気付いたことの一つが、デンマーク人教授同士のオープンさです。 皆んなとても協力的ですし、自分のアイディアや研究結果を喜んで共有します。誰かが盗むかもしれないと恐れてる人はいないですし、誰とでも協力する自由さがあります。それに他の大学からも。これにはとても驚きました。
他の教授を名前で呼ぶことを習うのに3ヶ月掛かりました。インドでは尊敬を表すために"Sir"と言います。デンマークではそうではないということを知りました。デンマークではfirst name(名前)で呼び合います。これは私にとって最初とても難しかったです。
廊下で同僚とすれ違ったときや助けが必要なとき、私は名前で呼ぶことが出来ませんでした。失礼だと思ったので、最初は"Hej"(こんにちは)とだけ言うようにしていました。今はもう慣れて、そのことについて考えることはありません。
大学のフラットでヒエラルキーのない組織がとても気に入っています。
私が慣れているインドや韓国よりも、ここでは教授たちはとてもオープンですし、友好的です。この化学機関でとてもたくさんのことを年上の教授から学ばせて頂きました。
ここではより平等です。教師と生徒の関係にも当てはまります。生徒はよりたくさん質問をし、生徒と教師の相互関係が遥かに強いです。自分が学生だったときに教師を尊敬していたのと同じように、デンマークの生徒たちは教師を尊敬しません。インドで教師であれば、「グル (サンスクリット語で指導者・教師・尊敬する人を意味する)」と見なされます。最も尊敬されるべき職業です。大学の教授でも通常の学校の先生の両方に当てはまります。
デンマーク人生徒との会話が好きです。私も生徒たちに何かを教えることが出来ますが、生徒たちも私にたくさんの学びを与えてくれます。新鮮なアイディアを思いつきますし、世界を見る方法が異なります。
デンマーク人は自分の考えにとても正直で、遠慮せずに物事を言います。私はデンマーク人のそういうところが好きです。
何を伝えたいのか明確ですし、礼儀正しいフレーズや永遠に続く長い前置きでお互いの時間を無駄にするのを防ぎます。
デンマーク人はとても真面目で勤勉だとよく思われています。それも正しいですが、それと彼らは同時に楽しい人生に満ちあふれています。デンマーク人の同僚たちと会議でハンガリーのブダペストに行ったときに最初に経験しました。
ボートに乗っていたのですが、突然彼らの多くが立ち上がりダンスをしパーティーを始めました。それ以来、同僚と一緒にクリスマス・ランチや懇親会に参加しましたが、いつも激しく盛り上がります。
私の夢は、デンマークで働き続け家族と子供をつくることです。
キャリアの面で、ここでは多くの刺激的な機会があります。それと同時にデンマークでは住みやすく安全なので安心して暮らせます。安心して歩けますし、自転車でどこでもいけます。デンマーク人は健康的なライフスタイルを送っています。雨が降っていても、公園で高齢者が自転車に乗ったり走ったりしている姿を見かけます。
恋しくなるのはインドの色と多くの人と食事です。
これはデンマークとは全く対照的です。例えばデンマークでは、電車のホームで電車を待っているときにホームにいるのが私しかいなかったり、バスにお客さんが私以外おらず、バスに運転手と私しかいないことがあります。インドでは常に人に囲まれています。時々それが恋しくなることがあります。一方でデンマークで素晴らしいワークライフを送っていて、その生活も気に入っています。
翻訳した記事⇩2019年7月掲載
2. 私の意見
マニッシュさんの見解に対して私なりの意見をまとめ、考えを比較してみました🙆🙅
教師は呼び捨て →⭕️同意🙆
私はデンマークの全寮制の成人教育学校フォルケホイスコーレに通っていたのですが、学校では生徒たちが教師の名前をみんなファーストネームで呼び捨てにして呼んでいたので、最初はびっくりしました・・!
しかし先生の名前をファーストネームで呼ぶことによって、不思議と平等意識が生まれるんですよね👀 (日本語のようにデンマーク語には敬語がないというのも大きな理由かもしれませんが・・。)
平等意識が生まれることによって、先生との距離が近く、授業中に分からないことがあれば日本の学校よりも気軽に質問できたり、あまり遠慮することなく先生と接することができるような気がしました。
生徒からも学びが得られる →⭕️同意🙆
デンマーク人は、このジャンルに関しては先生の方が精通しているけれど、もしかしたら他のジャンルでは生徒の方が詳しいこともあるよね〜と考えているそう。だから【先生の方が生徒よりも偉い】という考え方は一切ありません。
でももちろん、教師のことはきちんとリスペクトしています。
授業に遅刻しないこと、教師の話を静かに聞くこと、そして何か質問があったら友達同士でこそこそ話し合わずに手を上げて質問をすること等で教師に敬意を表します。
また、フォルケホイスコーレに通っていた時にデンマーク人のM先生とデンマークの平等について語り合ったことがありました。そのM先生が「僕はこの仕事が好きだよ。僕は生徒に教えているけれど、僕も生徒からたくさんのことを教えてもらっているからね」と言っていたのを今でもはっきりと覚えています。
M先生の話を聞いて、
デンマーク人は年齢や肩書きにとらわれず、一人の人としてお互いに尊重し合う。
そして誰が偉いだとか自分の方が他人よりも優れていると考えていない。
そういった考え方がデンマーク人に根付いているからこそ、デンマークは平等な国と言われており、実際にデンマーク社会は平等だと感じました。
生徒はたくさん質問をする →⭕️同意🙆
デンマークでは授業中、生徒がしょっちゅう手を挙げて意見を述べたり質問をしたりします。
あるデンマーク人のJ先生からは、「授業中に質問をしてね。特に日本人はシャイなところがあるから、授業が終わったあとに質問をしに来る傾向があるよね。でも恥ずかしがる必要なんて全くない。質問を皆んなの前ですることによって、他の生徒たちにとっても学びになるし、新しい発見が生まれるかもしれないということを覚えておいて」と言われました。
"質問をする"=「そんなことも知らないの」と他人から思われたら恥ずかしい"でなはく、"質問をする=シェアして全員の学びを得る機会を増やす”
というデンマーク人の考え方に感心しましたし、皆んなの前で手を上げて質問もしやすくなりました👀✨
また、フォルケホイスコーレで知り合った20代のデンマーク人Bくんも、「質問をするということは、つまり授業をちゃんと聞いて考えているということ。それに質問をしたら知識が得られるから、質問をする度に賢くなると思う」と言っていました。
☝️ちなみに☝️
デンマークではドイツやフランスなどと同様に、挙手するときは上の写真のように人差し指をたてます。なぜなら、日本のように挙手した場合、ヒトラーへのナチス式敬礼に見えてしまうからです👀⚠️
生徒と教師の相互関係が強い →⭕️同意🙆
日本の授業スタイルは、教師が説明をし、生徒は説明を聞きながら板書されたものをノートに書き写すという受け身型の授業が一般的だと思います。
しかしデンマークでは教師だけでなく生徒もたくさん話します。生徒が教師に質問をしたり意見を述べることにより、学んでいるテーマについてより知識を深めて行きます。
日本は講義型の授業、デンマークは参加型の授業。日本では教師が授業を作りますが、デンマークでは教師と生徒共同で授業を作っていくといえると思います。
デンマーク人はオープンでストレートにものを言う →⭕️同意🙆
デンマーク人ははっきりとものを言う人が多く、裏表があまりないと思います。
例えば、日本人はあまり政治の話をしませんが、デンマーク人はどの政治家や政党が好きか嫌いだとか、とてもオープンに話します。
また、私が通っていたフォルケホイスコーレのセミスターが終わりかけの頃、教頭先生がデンマーク人の生徒たちを集めフィードバック会を開いていました。デンマーク人生徒たちは学校の良かったことももちろん言っていましたが、ご飯が美味しくないとか、授業で欠けている部分などマイナスなこともはっきりと伝えていました。
デンマーク人はダンスとパーティーがお好き →△ちょっと意義あり🙅
デンマーク人はダンスもパーティーも好きだとは思います🍻
が、デンマーク人に限らずどこの国の人もパーティーは好きだろうし、音楽が流れていてお酒も入っていたら思わず体が勝手に動いて踊り出すのは国籍関わらず普通のことではないかと思います。
自転車でどこでも行ける →❌意義あり🙅
デンマークの首都コペハーゲンや大きな街では自転車に乗ってどこへでも行けますが、田舎では大きな街ほど自転車に乗ってる人は少ないですし、自転車でどこへでも行ける訳ではないと私は思います。
恋しくなる母国のもの →△ちょっと意義あり🙅
マニッシュさんはインドの色・人・食事が恋しくなると言っていました。
- 色
インドと聞くと、原色が多くファッションも街もカラフルな色で溢れているイメージ。
それに比べて、デンマーク人のファッションは黒・白・グレー・ベージュ・ブルーなどのシンプルな色使いが多く、スタイリッシュな服装がお好み。建物もシックで落ち着いたカラーが基本です。
写真)インドとデンマークのファッションと建物の比較
確かに原色でカラフルなものに見慣れていたら、デンマークに来て色少なっ!ってマニッシュさんが思うのは理解できますが、私は特に日本のカラーに関して恋しいなと思うことはありません。恋しくなるものの一つが色というのは、私の中では新しい発想で面白い観点だなと感じました。
- 人
マニッシュさんは 「インドでは常に人に囲まれています。時々それが恋しくなることがあります」と言っていましたが、私は真逆。正直全く恋しく思いません😂(笑)
私は東京都出身なのですが、満員電車は出来れば避けたいですし、新宿や渋谷などの人混みも大の苦手です(笑)
デンマークの電車は、日本のようなすし詰め満員電車にはなりません。混んだとしても押しくらまんじゅう状態になることもなく、人とちゃんと一定の距離を保つことが出来ます。
また今までの経験上、バスに乗って座れなかったことは一度もありません。しかも時々お客さんが私一人だけということもあります👀
デンマークは人口密度が低く、人ごみに紛れることもないので私はむしろこの点に関してはデンマークの方が気に入ってます😄
- 食事
食事に関しては私もマニッシュさん同様、日本食が恋しくなります🍚
私の場合特に恋しくなるのは日本食の品数の多さとバラエティ豊富な食事です。
デンマークの夕飯の品数はジャガイモ等の炭水化物・お肉・野菜と2〜3種類ほど。日本だとご飯があってお味噌汁があっておかずが2〜3種類くらいありますよね。デンマークの方が日本よりも食事は質素だと感じます。
私が恋しくなる日本のものを3つあげるなら、友達・娯楽・食事ですかね😊💡
以上、アジア人の視点から見たデンマーク分析でした!
最後までお読み頂きありがとうございました😊